稟議・クロージング
値引き・条件交渉の落とし所シナリオをAIで設計する
値引き要求が出た商談の文字起こしと、自社の値引き・条件の社内資料を貼るだけで、相手の要求の裏にある本当の関心を読み解き、単価を安易に下げずに落とし所を設計するプロンプトです。動かせる条件・動かせない条件を棚卸しし、交換条件とセットにした複数案と切り返しトークまで下書きする価格交渉AIとして、その場の感覚頼みだった条件交渉を、根拠のあるシナリオに変えられます。

必要データと準備
必要なのは、次の2つです。
- 自社の値引き・条件の社内資料: 標準価格に加えて「何を、どこまで、どんな承認で動かせるか」が分かるメモ。単価は据え置きか、初期費用は減免の余地があるか、支払い・契約期間で調整メニューがあるか、非金額のカード(サポート・試験運用・効果試算の支援)は何か。承認権限(マネージャー/部長)も入れておくと、要承認の切り分け精度が上がります。定価表が未整備でも、営業向けの運用メモの粒度で構いません。
- 価格・条件交渉が出た商談の文字起こし(1件): 値引き要求や条件の話が実際に出た回の会話。話者ラベル(自社/相手)が付いていると、誰の関心かの精度が上がります。録音は事前に相手の了承を得たうえで行ってください。
文字起こしの取り方は、商談文字起こしの共通ガイドも参照してください。
プロンプト本文
あなたは価格・条件交渉の落とし所を設計する営業戦略アドバイザーです。
以下の「自社の値引き・条件の社内資料」と「価格交渉が出た商談の文字起こし」を読み、相手の要求の背後にある本当の関心を読み解いたうえで、単なる値引きに逃げない落とし所のシナリオを設計してください。
社内資料に書かれた条件・権限の範囲だけを根拠にし、事実と推測を必ず分けてください。
## 自社の値引き・条件の社内資料(動かせる条件/動かせない条件・承認権限)
{価格・値引き・オプション・支払条件・契約期間・非金額カード・承認ルールの社内資料をここに貼り付け}
## 価格・条件交渉が出た商談の文字起こし
{値引き要求や条件の話が出た商談の録音・録画の文字起こしをここに貼り付け}
## 今回の案件の状況(分かる範囲で。不明は「不明」)
{相手の決裁プロセス・期日・キーパーソン・競合状況などをここに記入}
## 出力フォーマット
1. 相手の要求の整理(表形式で「相手の発言(事実)/表面的な要求/背後にある関心(推測)」。推測には根拠の発言を短く引用)
2. 動かせる条件・動かせない条件の棚卸し(社内資料ベース。金額カードと非金額カードを分け、単価・初期費用・支払・期間などの可否と、要承認・要確認の別を明記)
3. 落とし所の選択肢(2〜3案。各案で「譲る条件/得る交換条件/相手が社内で説明しやすい形/根拠」。社内資料に幅の記載がない金額は確定値を入れず要確認とする)
4. 交渉トークの下書き(値引き要求への切り返し。単価を守る理由+相手の本当の関心に応える+金額を動かすなら交換条件とセットにする型。そのまま読み上げず要調整の但し書きを付ける)
5. 事前に確認すべき社内承認・要確認事項(要マネージャー/部長承認の項目、社内資料に値が無く要確認の項目、次回に相手へ確認すべき項目、期日)
## 注意事項
- 社内資料に書かれた条件・権限・幅だけを根拠にする。書かれていない値引き率・減免幅を創作しない。値が無いものは確定値を入れず「要確認」とする
- 事実(相手が実際に言ったこと・社内資料の記述)と、そこからの推測を必ず分ける。推測には「(推測)」を付け、根拠の発言を短く引用する
- 相手の要求(例:「1割引き」)を、そのまま自社の提示条件として確定させない。あくまで相手の要求として扱う
- 安易な単価値引きを推奨しない。値引きは交換条件(期間・支払・導入時期・事例協力など)とセットで設計する。利益や他案件への波及を損なう提案をしない
- 曖昧な同意や社交辞令(「前向きに」「検討します」等)を、確定した合意として扱わない。判断に迷う箇所は「要確認」とする
- この分析を外部の生成AIで行う場合、商談内容に相手企業の情報・個人情報が、社内資料に非公開の価格情報が含まれる。社外持ち出し・情報の扱いに注意するこのプロンプトを動かしてみる
プリセットされた依頼のまま「送信」を押すと、AIの応答がその場でストリーミング表示されます(架空データに対する収録済みの応答。生成AIは呼び出しません)。
AIに渡した入力データ(架空サンプル)
1. 相手の要求の整理(表面の要求/背後にある関心)
相手の発言(事実) | 表面的な要求 | 背後にある関心(推測) |
|---|---|---|
「もうひと声ほしい」「1割くらい引いてもらえると助かる」 | 月額・全体の値引き(約1割) | (推測)金額の絶対額より、稟議を通す材料。根拠発言:「金額そのものというより、通すための材料が欲しい」 |
田中氏「初期費用の20万は大きく見えるかも」 | 初期費用の圧縮 | (推測)単月コストより初期一括のインパクトを社内が気にする |
要点: 佐藤氏の要求は「値段を下げること」そのものより、「社内で通すための、交渉して勝ち取った形と説明材料」に見える(根拠:「金額そのものというより、通すための材料が欲しい」)。推測を含むため次回に本人へ確認したい。
3. 落とし所の選択肢(抜粋)
- 案A(金額を動かさず、材料で応える): 価格は据え置き。稟議用の効果試算をこちらで一緒に作成し、大手との比較で連携・伴走の優位を1枚に整理。「値段ではなく中身で通す」形。
- 案B(初期費用の減免+交換条件): 田中氏が気にする初期費用を一定額減免し、代わりに年一括前払いまたは複数年契約を相手に持ってもらう。減免幅・引き換え条件は要承認。
- 案C(AとBの併用): 材料+初期費用の一部減免(交換条件つき)。譲る度合いが大きいので契約期間か支払い条件のコミットを必ずセットに。
いずれの案でも月額単価は動かさないことを軸に(社内資料の据え置き方針・他案件への波及)。
(「動かせる条件の棚卸し」「交渉トークの下書き」「社内承認・要確認事項」を含む全文は runs/P066/run1.md)
注目したいのは、AIが「1割引き」をそのまま自社の提示条件にしなかった点です。相手の要求として扱いつつ、「金額そのものより通すための材料が欲しい」という発言を根拠に、本当の関心を推測として切り出しました。初期費用の減免幅や年一括の割引率は社内資料に値がないため、確定値を入れず「要確認」に落としています。埋めることより、社内資料にない数字を作らないことを優先した挙動です。
カスタマイズのヒント
- 承認レンジを社内資料に具体で入れる: 「初期費用は◯万円まで減免可(マネージャー承認)/単価は原則不可」のように数値の権限を社内資料に書いておくと、AIの「要承認/要確認」の切り分けが具体化し、そのまま判断に使えます。
- 交換条件の引き出しを増やす: 支払い条件・契約期間だけでなく、事例協力・導入時期の前倒し・紹介など、自社が「得たいもの」を社内資料に列挙しておくと、落とし所の案が広がります。
- 競合を意識した案にする: 案件の状況欄に競合名や相手の比較軸(本サンプルなら「大手と比較」)を入れると、値引きではなく連携・伴走といった優位で応じる案を出しやすくなります(競合の弱点は事実断定せず「想定」として扱う前提で)。
- マネージャーのレビュー用に整える: 出力の先頭に「案件名・現在の提示条件・推奨案1行」を固定で足すと、複数案件の値引き判断をマネージャーが横並びでレビューしやすくなります。
よくある質問
AIが勝手に値引き額を決めてしまう心配はありませんか?
このプロンプトは、社内資料に書かれた条件・権限の範囲だけを根拠にし、資料に幅の記載がない金額は確定値を入れず「要確認」と返す設計です。相手の「1割引き」も、自社の提示条件ではなく相手の要求として扱います。ただしAIの出力なので、承認が必要な金額は必ずマネージャー/部長のレンジ内で自分で決め、社内承認前に相手へ口約束しないでください。
社内の値引きルールが整備されていなくても使えますか?
使えますが、出力は入力の質に比例します。定価表が未整備でも、「単価は据え置き/初期費用は◯万円まで/交換条件は期間・支払い」といった営業向けの運用メモの粒度があれば、動かせる条件と要承認の切り分けが具体化します。資料が薄いと、AIは多くを「要確認」に落とすため、その分は自分で埋める前提になります。
相手の「本当の関心」の読み取りは信用してよいですか?
あくまで発言を根拠にした推測で、断定ではありません。本サンプルでも「稟議材料が欲しいのでは」という読みは(推測)と明記し、次回に本人へ確認する項目として返しています。交渉の仮説を立てる補助として使い、相手に当てて検証してください。会話内容を外部AIに貼る社内ルールも都度確認してください。
