育成・営業分析
蓄積商談ログに自然言語で問う対話型BI(VoC)
蓄積した複数案件の商談文字起こしとSFA/CRMデータをまとめて渡し、知りたいことを自然言語の問いで投げるだけで、貯まった会話の事実を根拠に答えるプロンプトです。決まったレポート型ではなく、聞きたい切り口をその場で変えて掘れる対話型BIとして、マネージャーや営業企画が自分でVoC分析AIに問いを立てられます。

必要データと準備
必要なのは次の2つ、そして毎回変える「問い」です。
- 複数案件の商談文字起こし: 探索したい案件群それぞれの会話。受注・失注を横断して比べたいなら、両方を含めます。1案件あたり複数回ぶんあると、どの時点の発言かまで追えます。全文でなく要点の抜粋でも問いには答えられますが、抜粋の仕方に偏りがあると答えも偏るため、恣意的に削らないようにします。話者ラベル(自社/相手・役職)が付いていると、誰の発言を根拠にしたかの精度が上がります。録音は事前に相手の了承を得たうえで行ってください。
- その案件群のSFA/CRMデータ: 各案件の業種・規模・商談回数・リードソース・競合の有無・決裁ルート・結果(受注/失注)・理由メモなど、案件一覧のエクスポート(またはコピー)。会話だけでなく案件属性の面からも問いに答えるために使います。
- 問い(自然言語): 知りたいことを、そのまま日本語の問いで書きます。1回に1つが基本です。同じデータに対して問いを変えながら、対話的に何度も投げられます。
対象の件数が多いほど、件数を伴う問い(「〜な案件は何件か」)の答えの信頼性が上がります。数件では「この案件群で見たかぎり」という限定つきの答えになる前提で扱ってください。文字起こしの取り方は、商談文字起こしの共通ガイドも参照してください。
プロンプト本文
あなたは、蓄積された複数案件の商談ログとSFA/CRMに対して、自然言語の問いに答える対話型のアナリスト(BI)です。
以下の「蓄積された商談の文字起こし(複数案件・複数回)」と「SFA/CRMデータ」を読み、末尾の「問い」に答えてください。
答えは、ログとCRMに実際に書かれている事実だけを根拠にします。書かれていないことは補って答えず、「このデータでは答えられない」と明示してください。
## 蓄積された商談の文字起こし(複数案件・複数回)
{分析対象の案件群の商談文字起こしを、案件名・回が分かる形で貼り付け}
## SFA/CRMデータ(業種・規模・商談回数・リードソース・競合・決裁ルート・結果・理由メモなど)
{分析対象の案件一覧のエクスポートをここに貼り付け}
## 問い(自然言語・1つ)
{知りたいことをそのまま日本語で記入(例: 価格が主因で失注した案件はどれか)}
## 回答の前提・制約(任意。分かる範囲で。不明は「不明」)
{見てほしい範囲・除外したい案件・裏取りの有無などを記入}
## 出力フォーマット
1. 問いへの直接の回答(結論から。該当する案件名と件数を添える)
2. 根拠(回答のもとになった発言・CRM記載を、案件名つきで短く引用。何件中何件かを明示)
3. 事実と推測の区別(会話・CRMに書かれた事実は[事実]、読み取りは[推測]。判断がつかないものは「このデータでは不明」とする)
4. このデータでは答えられない部分(ログに情報がない/対象外/件数が不足/偏りがある、を具体的に)
5. 深掘りの提案(次に投げると精度が上がる問いの切り口を1〜3個)
## 注意事項
- ログとCRMに書かれた事実だけを根拠にする。書かれていないことを補完・創作して答えない。根拠がないものは断定せず「このデータでは不明」とする
- 問いに対してデータが不足している、または対象外の情報を聞かれている場合は、無理に答えを作らず「このデータでは答えられない」とその理由(何が足りないか)を明示する
- 事実(実際の発言・CRMの記載)と、そこからの推測を必ず分ける。推測には[推測]を付け、根拠となる事実を短く添える
- 件数や割合を答えるときは、対象件数(母数)を明示する。件数が少ない場合は「この案件群で見たかぎり」と限定し、断定しない
- 相関と因果を分ける。「〜な案件が受注した」ことと「それが受注の理由」であることは別。件数を添えて傾向として示す
- CRMの「理由メモ」は担当者の主観コメントであり、裏取りされた事実とは限らない前提で扱う。会話の中身と食い違う場合はその旨を指摘する
- 競合の優劣を事実として断定しない
- 引用は原文を短く抜き出す。金額・日付・固有名詞は原文どおりにする
- この分析を外部の生成AIで行う場合、複数の相手企業の情報・個人情報と、自社の非公開の案件情報が含まれる。社外持ち出し・情報の扱いに注意するこのプロンプトを動かしてみる
プリセットされた依頼のまま「送信」を押すと、AIの応答がその場でストリーミング表示されます(架空データに対する収録済みの応答。生成AIは呼び出しません)。
AIに渡した入力データ(架空サンプル)
1. 問いへの直接の回答
- 失注3件のうち、価格が主因と読めるのはブライトケア1件です。丸和製作所は価格も論点に出ていますが、稟議・決裁者との接点が主な詰まりで、価格が決め手だった根拠は限定的です。ノーススチール工業は接点が途絶えており、真因はこのデータでは不明です。
- したがって「失注は価格が主因」という見立ては、この6件(失注3件)の範囲ではそのままは支持できません。価格を明確な主因と言えるのは3件中1件です。
2. 根拠(失注3件中)
案件 | 価格は主因か | 根拠(引用) |
|---|---|---|
ブライトケア | 主因と読める | 「ジンジワークスさんと最終比較中で、正直そちらの方が安くて」「理事長判断で他社になりました」[事実]。初回から「予算が厳しいので価格は重視」と明言 [事実] |
丸和製作所 | 一因だが主ではない | 「稟議がなかなか」「価格の資料をもう一度」[事実]。ただし決裁者(オーナー)とは終始接点なし、現場との商談も未設定 [事実] |
ノーススチール工業 | 不明 | 価格の言及なし。「現場に展開できるか持ち帰ります」以降、返信途絶 [事実] |
続きを見る(事実と推測・答えられない部分・深掘りの提案)
3. 事実と推測の区別
- ブライトケアが価格を主因に他社決定したことは、本人の発言とCRM記載の両方に表れており[事実]に近いですが、最終判断は理事長であり、価格以外の要因(連携要件の充足度など)が併存した可能性は会話からは切り分けられません[推測]。
- 丸和製作所は、価格の資料を求めつつも、より本質的な詰まりは「決裁者・現場との接点が作れなかったこと」にあると読めます[推測]。根拠は、オーナー・工場の労務担当いずれとも商談が設定されないまま保留に至った点 [事実]。価格はそこに乗った表層の理由の可能性があります。
- ノーススチール工業は、返信が途絶えた後の真因が会話・CRMのどちらにも残っておらず、価格かどうか以前にこのデータでは不明です。
4. このデータでは答えられない部分
- CRMの理由メモは担当者の主観です。丸和の「稟議進まず保留」、ブライトケアの「価格差で他社決定」はいずれも担当のコメントで、相手が公式にそう述べた記録とは限りません。ブライトケアは会話にも価格発言があり整合しますが、丸和は会話の詰まり(接点不足)とメモ(稟議)にズレがあります。
- ノーススチール工業の真因は情報がなく、埋められません。「価格ではなかった」とも「価格だった」とも言えません。
- 失注は3件のみで、ここから「自社の失注全体の傾向」を語るには件数が足りません。あくまでこの3件で見たかぎりの答えです。
5. 深掘りの提案
- 「決裁者や現場のキーパーソンと最後まで接点を持てなかった失注はどれか」と問うと、価格とは別の共通要因(接点設計)が見えるかもしれません。
- 「ジンジワークスが比較に出た案件は、受注・失注でそれぞれ何件か」と問うと、競合の登場と勝敗の関係を件数で確認できます(ただし因果ではなく相関として)。
- 受注案件を含めて「価格を論点にしながらも受注できた案件はあるか」と問うと、価格が本当に決定要因かを裏側から検証できます。
注記: 回答は貼られた6案件のログとCRMにある記載のみを根拠とした。各案件の失注の最終的な真因、CRM理由メモの裏取り、ノーススチール工業の途絶後の状況は、データに現れないため「不明」または[推測]とした。
参考:データの範囲を超えた問いには答えを作らない
同じデータに続けて「受注した3社は、導入後も使い続けているか」と問うと、出力は次のように返します(抜粋)。
このデータでは答えられません。貼られているのは受注に至るまでの商談ログとSFA/CRMで、導入後の利用状況・継続の記録は含まれていません。受注/失注までは追えますが、その後の定着は対象外です。継続を見るには、カスタマーサクセスの利用データや契約更新の記録が別途必要です。
聞かれたことにデータで答えられないとき、それらしい答えを作らずに「答えられない・何が足りないか」を返すのが、対話型BIとして安心して問いを重ねられる条件です。
カスタマイズのヒント
- 問いを対話的に重ねる: 1つの答えが出たら、その中で気になった点をそのまま次の問いにします。「価格が主因は1件」→「では丸和の詰まりは何だったか」→「接点を作れなかった失注は他にもあるか」と、決まった集計では届かない深さまで掘れます。
- 範囲を絞って問う: 「回答の前提・制約」欄に「エンタープライズ(300名以上)だけ」「テレアポ由来だけ」と書くと、その母集団に限定して答えます。セグメントごとの傾向を、切り口を変えながら確認できます。
- 答えの形式を指定する: 「該当案件を表で」「時系列で並べて」「担当者別に集計して」など、欲しいアウトプットの形を問いに添えると、その形で返します。会議資料の下ごしらえに向きます。
- 裏取りの前提を渡す: 「CRMの理由メモは信用せず、会話の中身だけで判断して」と制約を書くと、主観メモに引っ張られない答えになります。逆にメモと会話の一致/不一致を出させることもできます。
よくある質問
ダッシュボード型の分析ツールと何が違いますか?
BIツールやSFAのレポートは、あらかじめ用意された集計軸(失注理由・受注率・フェーズ別件数など)で数字を見るものです。このプロンプトは、決まった軸ではなく貯まった会話そのものに自然言語で問いを投げ、「なぜそうなったか」を根拠発言つきで返します。数字が示す傾向の裏側を、その場で思いついた切り口で掘れるのが違いです。両者は競合ではなく、数字で当たりをつけ、会話で理由を確かめる、という使い分けが向いています。
少ない案件数でも使えますか?
問いには答えられますが、件数を伴う答え(「〜な案件は何件か」)は母数が小さいほど傾向とは言えなくなります。このプロンプトは件数と母数を明示し、少数の場合は「この案件群で見たかぎり」と限定して断定を避けるよう指示しています。数件のうちは個別事例の確認として使い、傾向を語るには案件を貯めてから問い直すのが安全です。
AIが「答えられない」と返してきたら、使えていないということですか?
むしろ逆で、それが正しく動いているサインです。このプロンプトは、ログに情報がない問い(例: 導入後の継続利用)に対して、それらしい答えを作らず「何が足りないか」を返すよう設計しています。無理に答えを出すと、根拠のない結論を会議に持ち込むことになります。答えられないと返ってきたら、足りないデータを足すか、答えられる形に問いを変えてください。会話を外部AIに貼る社内ルールも都度確認してください。
