Salesforceの商談とは?フェーズ設定から売上予測への活用まで解説

Salesforceの商談は、進行中の営業案件を管理する標準オブジェクトです。フェーズ・確度・金額・完了予定日などの項目で受注までのプロセスを追跡でき、営業チーム全体の活動を一元的に把握するための基盤となります。

商談はSales Cloudの中核機能であり、取引先・取引先責任者・リードなど他の標準オブジェクトと連携して営業活動全体を支えます。本記事はLightning Experience環境を前提に解説します。

なお、当メディアを運営する株式会社MEDIUMでは、商談の一次情報を自動で記録・構造化し、営業活動全体を支援するAIエージェント「Stockwork」を提供しています。

目次
  1. Salesforceの「商談」の役割と主要項目
  2. フェーズ・確度・金額など基本項目の意味
  3. リード・取引先・取引先責任者との関係
  4. 商談フェーズの設計と初期設定
  5. 1. デフォルトの商談フェーズと確度の対応
  6. 2. フェーズの追加・編集手順
  7. 3. セールスプロセスと商談パスの設定
  8. 商談の登録・更新・クローズの操作手順
  9. 1. 商談の新規登録と更新
  10. 2. 成約・失注のクローズ処理
  11. 商談データを活かした売上予測とレポート
  12. 売上予測(フォーキャスト)との連携
  13. 商談レポートの作成と活用
  14. Salesforce商談を定着させるために

Salesforceの「商談」の役割と主要項目

Salesforceの商談オブジェクトは、進行中の営業案件をレコードとして管理するための仕組みです。案件ごとにフェーズ・確度・金額・完了予定日といった情報をひとつのレコードに集約することで、どの案件がどの段階にあり、いつごろ受注見込みかを組織全体で共有できます。

商談レコードは取引先に紐づいており、ひとつの取引先に対して複数の案件を並行管理できます。リードや取引先責任者との関係も含め、主要項目と関連オブジェクトの構造を順に見ていきましょう。

フェーズ・確度・金額など基本項目の意味

1. フェーズ

営業プロセスの現在地を示す選択リスト値です。「提案中」「交渉中」「成約」のように段階を表す値を選ぶことで、案件が今どのステージにあるかを一目で把握できます。フェーズを変更すると、それに連動して確度が自動更新される仕組みになっています。

2. 確度

各フェーズに紐づけられた受注見込みのパーセンテージです。初期段階のフェーズには低い確度が設定され、交渉や合意に近づくにつれて高い数値に更新されます。この確度の値が売上予測(フォーキャスト)の計算基盤として使われるため、フェーズの設定精度が売上予測の信頼性に直結します。

3. 金額

商談の見込み売上額を表し、完了予定日はその商談が成約または失注するまでの期限を示します。種別は商談の種類(新規ビジネス・既存顧客への追加販売など)を分類するための項目です。これらの値は売上予測レポートやダッシュボードで集計・可視化するための基礎データとなります。

商談レコードに関連する商談商品を入力すると、製品別の売上集計が可能になります。また商談チームを設定すれば、複数の営業担当者で一つの案件をチーム管理できます。どちらも標準機能として利用でき、より詳細な案件管理が必要な場合に活用する機能です。

リード・取引先・取引先責任者との関係

「リードと商談の違いがわからない」という疑問は、Salesforceを使い始めた段階でよく出てきます。リードは、まだ取引の可能性があるかどうか評価段階にある見込み客の初期情報を管理するオブジェクトです。メールアドレスや役職など基本的な連絡先情報と商談可能性に関する情報をひとつのレコードにまとめて保持しています。

リードが「取引開始(Convert)」の操作を経ると、Salesforceは自動的に3つのオブジェクトを生成します。見込み客が所属する会社の情報を持つ取引先、その会社の担当者情報を持つ取引先責任者、そして具体的な案件情報を持つ商談の3つです。この段階から初めて商談レコードが作られ、営業プロセスの追跡が始まります。

商談は必ず1つの取引先に紐づきますが、商談と取引先責任者の関係は「取引先責任者ロール」という仕組みで管理します。商談における意思決定者・評価者・ユーザー担当者といった役割をそれぞれの取引先責任者に割り当てることで、案件に関わるステークホルダーの構成を明確に記録できます。これにより「誰が決裁者か」「誰が製品評価を担当しているか」が商談レコードから直接確認できるようになります。

取引先・取引先責任者・商談を分けて管理する設計は、同じ会社との複数の案件を独立して追跡するためのものです。ひとつの取引先に複数の商談が紐づく構造があることで、過去の受注実績と現在進行中の案件を同じ取引先の文脈でまとめて参照できます。

商談フェーズの設計と初期設定

商談フェーズの設計は、Salesforce導入時に最初に取り組むべき設定のひとつです。デフォルトのフェーズをそのまま使うか、自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズするかによって、その後の運用定着度や売上予測の精度が大きく変わります。

このセクションでは以下の順に解説します。

  1. デフォルトの商談フェーズと確度の対応
  2. フェーズの追加・編集手順
  3. セールスプロセスと商談パスの設定

1. デフォルトの商談フェーズと確度の対応

Salesforceには初期状態で10段階の商談フェーズが用意されています。以下の表はデフォルトのフェーズ名と確度の対応です。確度の数値は環境によって異なる場合があるため、実際の設定画面で確認することを推奨します。

フェーズ名

確度(目安)

営業プロセス上の位置づけ

Prospecting(見込み)

10%

潜在顧客の発掘・初期接触段階

Qualification(絞り込み)

20%

商談可能性の初期評価

Needs Analysis(ニーズ分析)

25%

顧客課題・要件のヒアリング

Value Proposition(価値提案)

50%

自社ソリューションの提案

Id. Decision Makers(意思決定者確認)

60%

決裁者・購買関与者の特定

Perception Analysis(認識分析)

70%

顧客の評価・懸念点の把握

Proposal/Price Quote(提案・見積もり)

75%

正式提案書・見積書の提出

Negotiation/Review(交渉・レビュー)

90%

契約条件の交渉・最終調整

Closed Won(成約)

100%

受注確定

Closed Lost(失注)

0%

失注確定

これらはあくまでSalesforceが提供する初期設定です。自社の営業プロセスと必ずしも一致するわけではないため、実際の運用に合わせてカスタマイズすることが前提となります。

2. フェーズの追加・編集手順

フェーズを設計する際の出発点は、営業担当者の行動ではなく、顧客側の行動や合意を基準にすることです。「提案書を送った」ではなく「顧客が要件を確認した」「顧客が予算承認をした」のように、顧客側に何らかの変化や合意があったタイミングをフェーズの境界点として定義すると、担当者間でのフェーズ認識のズレが生じにくくなります。

Salesforceサクセスナビでは、各フェーズを設計する際に「各フェーズを何のために設定するのか」と「次のフェーズに進むための前進基準は何か」の2点を必ず明確にすることを推奨しています。この前進基準が曖昧なままでは、担当者によってフェーズの更新タイミングがばらつき、データの信頼性が低下します。

実際の設定手順は以下のとおりです。

  1. 画面右上の歯車アイコンから「設定」を開きます。
  2. 左メニューの「オブジェクトマネージャ」をクリックし、「商談」を選択します。
  3. 左メニューから「項目とリレーション」を選び、「フェーズ」をクリックします。
  4. 「新規」ボタンから新しいフェーズ値を追加するか、既存の値をクリックして編集します。
  5. フェーズ名・確度・予測分類を設定して保存します。

フェーズの追加時には確度と予測分類の設定が必要です。予測分類はコラボレーション売上予測での集計カテゴリに対応するため、適切な分類を選ぶことが後述の売上予測の精度に影響します。

なお、フェーズ数を増やしすぎると営業担当者の入力負荷が上がり、形骸化するリスクがあります。自社のプロセスを正確に表現するために必要な数に絞り込むことが、運用定着の観点から重要です。

3. セールスプロセスと商談パスの設定

フェーズの編集が完了したら、次はセールスプロセスと商談パスの設定に進みます。セールスプロセスは「どのレコードタイプにどのフェーズを使わせるか」を制御する仕組みで、商談パスは「各フェーズで何をすべきか」のガイダンスを担当者に表示する機能です。この2つを組み合わせることで、フェーズの定着率が大きく向上します。

セールスプロセスの作成

セールスプロセスは、商談のレコードタイプごとに使用するフェーズを選別するための仕組みです。例えば、新規開拓用の商談と既存顧客へのアップセル用の商談では、使うべきフェーズが異なる場合があります。レコードタイプとセールスプロセスを組み合わせることで、それぞれの案件種別に最適なフェーズセットを割り当てられます。

設定手順は以下のとおりです。

  1. 「設定」から「セールスプロセス」(Sales Processes)を検索して開きます。
  2. 「新規」をクリックし、プロセス名と使用するフェーズを選択して保存します。
  3. 「設定」から「オブジェクトマネージャ」>「商談」>「レコードタイプ」を開き、対象のレコードタイプに作成したセールスプロセスを割り当てます。

セールスプロセスを複数作成しておくことで、商品ラインや営業チームごとに異なるフェーズセットを運用できます。営業プロセスが1つしかない組織では、デフォルトのセールスプロセスをそのまま使い続けることも可能です。

商談パスの設定

商談パスは、各フェーズに到達したときに担当者へガイダンスを表示する機能です。「このフェーズでは何を確認すべきか」「次のフェーズに進む前に何をクリアすべきか」という指示を画面上に表示できるため、前進基準の浸透と入力の定着に有効です。

設定手順は以下のとおりです。

  1. 「設定」で「パス」を検索して「パスの設定」を開きます。
  2. 「新規パス」をクリックし、オブジェクトとして「商談」、次にレコードタイプとフェーズ項目を選択します。
  3. 各フェーズごとに重要な項目とガイダンステキストを設定して保存します。
  4. 作成したパスを有効化すると、商談レコードの画面上部にパスが表示されるようになります。

パスには各フェーズで確認すべき重要項目を「主要項目」として表示する設定があります。ガイダンステキストには前進基準や確認チェックリストを記載しておくと、特に新人営業担当者が自律的に動きやすくなります。

商談の登録・更新・クローズの操作手順

フェーズの設計と設定が完了したら、実際の商談レコードの登録・更新・クローズの操作を把握しておきましょう。日常的に繰り返す操作であるため、正しい手順を身につけることがデータ品質の維持につながります。

このセクションでは以下の順に解説します。

  1. 商談の新規登録と更新
  2. 成約・失注のクローズ処理

1. 商談の新規登録と更新

商談レコードを作成する主な方法は2つあります。取引先の詳細ページから作成する方法と、リードの取引開始時に自動作成される方法です。後者はリードの「取引開始」ボタンを押すと自動的に商談・取引先・取引先責任者が生成されます。日常的な案件追加では、既存の取引先から商談を作成するケースが多くなります。

取引先の詳細ページから作成する手順は以下のとおりです。

  1. 対象の取引先レコードを開き、関連リストの「商談」セクションを確認します。
  2. 「新規」ボタンをクリックすると、商談の作成フォームが開きます。
  3. 商談名・完了予定日・フェーズを入力します。これらは必須項目です。
  4. 金額・種別・商談の説明など補足情報を入力して保存します。

商談名は案件を識別するための名前です。「会社名+案件概要」のような命名規則をチームで統一しておくと、一覧での視認性が上がります。フェーズは現在の段階を正確に選択することが重要で、曖昧なまま放置すると売上予測のデータが歪みます。

商談の進捗に応じてフェーズを更新する際は、金額と完了予定日も同時に見直すことが予測精度の維持において重要です。特に完了予定日が過去の日付のまま放置された商談は「滞留案件」としてレポートに現れ、パイプラインの信頼性を損なう原因になります。

こうした商談記録の手作業は営業担当者の負担となりがちですが、StockworkのようなAIエージェントを活用すれば、商談終了後の記録作成を自動化できます。商談の一次情報から適切なフェーズや金額を判断し、Salesforce等のSFAへの入力も自動で実行するため、データ品質を維持しながら営業担当者の工数を削減できます。

2. 成約・失注のクローズ処理

案件が成約または失注で確定したら、商談のフェーズをClosed WonまたはClosed Lostに変更してクローズします。

  1. 対象の商談レコードを開き、フェーズ項目を「Closed Won」または「Closed Lost」に変更します。
  2. Closed Lostを選択した場合、失注理由の項目が表示されるので適切な理由を選択します。
  3. 金額・完了予定日が実態と一致しているか確認して保存します。

失注理由を記録しておくことは、パイプライン分析において価値があります。「価格競争で負けた案件」「予算凍結による延期」「競合製品に切り替えられた案件」などを分類して集計することで、失注パターンの傾向把握や営業戦略の改善に活用できます。

なお、クローズ後は商談レコードの編集がロックされる設定が有効になっている場合があります。後から修正が必要な場合は管理者権限が必要になることもあるため、クローズ前の情報整理を習慣にすることが重要です。

商談データを活かした売上予測とレポート

商談レコードに蓄積されたフェーズ・確度・金額のデータは、売上予測やレポートの基礎として機能します。正確なデータが入力されていれば、組織全体のパイプライン状況をリアルタイムで把握し、マネージャーが意思決定に使えるレベルの予測を作ることが可能です。

逆に言えば、担当者のフェーズ更新や金額入力が不正確であれば、売上予測の信頼性は下がります。商談管理の定着と予測精度の向上は、切り離せない関係にあります。

売上予測(フォーキャスト)との連携

各フェーズには「予測分類」が設定されており、この分類が売上予測での集計単位になります。Salesforceサクセスナビによると、コラボレーション売上予測は「Closed(クローズ済み)」「Commit(達成予測)」「Best Case(最善達成予測)」「Pipeline(パイプライン)」の4カテゴリで商談を分類し、営業チームの販売サイクルの予測と計画を支援する機能です。

各担当者はこの4カテゴリに基づいて自分の商談がどのカテゴリに属するかを確認でき、マネージャーは担当者の予測値をチームレベルで集計・調整することができます。マネージャーが各担当者の予測を見ながら上方・下方修正を加える機能も備わっており、組織全体での販売予想の管理が可能です。

フェーズの確度や予測分類の設定が実態とずれていると、売上予測の集計結果も実績と乖離します。フェーズ設計の段階で予測分類を適切に割り当てることが、フォーキャストの信頼性を高める前提条件となります。

商談レポートの作成と活用

Salesforceのレポート機能では、商談オブジェクトを使ったさまざまなレポートを作成できます。代表的なものとして、担当者別の成約率レポート、月別・四半期別のパイプライン金額レポート、フェーズ別の滞留日数レポートがあります。

担当者別の成約率レポートでは、誰がどの程度の確率で案件をクローズしているかを比較できます。フェーズ別の滞留日数レポートを使うと、特定のフェーズで案件が止まっている傾向を発見でき、プロセス上のボトルネックを特定するための手がかりになります。

これらの複数レポートをダッシュボードにまとめることで、マネージャーが毎朝確認すべき指標を1画面に集約できます。ダッシュボードはリアルタイムで更新されるため、週次のミーティング準備や日常的なパイプライン確認に活用できます。レポートの具体的な作成手順はSalesforceサクセスナビのレポートガイドに詳細が掲載されています。

Salesforce商談を定着させるために

Salesforceの商談管理を機能させるためには、フェーズ設計・操作習得・データ活用という3つのステップを順に整えることが重要です。まず自社の営業プロセスに合ったフェーズと前進基準を設計し、次に担当者が日常操作を習慣化できる環境を作り、最後に蓄積したデータを売上予測やレポートで活用するというサイクルを回します。

フェーズの前進基準を明確にし、商談パスでガイダンスを提供することが入力定着のカギです。担当者がフェーズを変えるタイミングで「次に何をすべきか」が画面上に表示されれば、入力作業が業務の一部として自然に組み込まれます。

データが蓄積されるほど、成約率の分析やパイプライン予測の精度が上がります。まずは商談レコードへの正確な入力を習慣化することが、Salesforce商談管理の第一歩です。

このような商談データの管理と活用をさらに効率化するために、Stockworkでは商談の一次情報を自動で取得・構造化し、営業活動全体を支援するAIエージェント機能を提供しています。商談記録の自動化から売上予測の精度向上まで、営業組織の課題解決をお手伝いします。詳しくはこちらをご覧ください。

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